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▷ 「有機の里 小川町の里山を巡る親子ハイキング 」イベントリポート

四方を山に囲まれ、里山文化が残る小川町。でも意外と、地元の人も移住者も山に入るきっかけがない… 時々仕事で小川町を訪れるような人は尚更!そんなお声から、NESTo会員のみなさんにもお声かけをして、身近な里山を巡るハイキングツアーを企画しました。

働くお父さん、お母さん、そして子どもも一緒に楽しめたらと、地元の保育園の園長先生をガイドにお招きし、親子でたっぷりと自然を満喫してきましたよ♪そんな当日の様子を、 NESToスタッフ(NPO法人あかりえ)の黒礒がレポートします。

プログラムはこんな感じでした。

9:45 小川っ子保育に園集合
10:30 ハイキング(保育園〜飯田神社〜双子山〜小瀬田の田んぼ)
12:00 昼食
13:00 小瀬田の田んぼで生き物観察
・ 稲わらでリース作り、山散策
・ 山の落ち葉を拾って、焼き芋作り
15:00 解散

 

「農家保育」を実践する、小川っ子保育園に集合!

木をたっぷりと使った広々とした園舎に、5組15名の親子のみなさんが集合。都内、近隣都市、町内と色んな場所から参加して下さいました。

今回のガイドは、親子三代で保育園を営んできた小川っ子保育園の尾島園長と、園のコミュニティコーディネーターで環境教育を得意とされる石井先生のお二人。手指を動かすことで成長を促す「農家保育」を実践しているという小川っ子保育園の紹介など、尾島園長のお話から会がスタートしました。

「大切にしているのは、子どもの自由、子どもの発見を助ける、ということです。“子どもがどうしたいのか”、学びの意欲や探究心、自分で想像する力を育てる。それには、感動することが大事です。整備されている山より、今日これから行くような山の方が子どもは楽しかったりします。自然のもの=神秘。子どもにとって面白いんです。没入感が出てくるといい状態ですね。手指を動かすことが大事で、脳の発達に繋がります。」

尾島園長の熱のこもったお話に、引き込まれます。

保育園で育てたという大豆の枝を、参加者のみなさんに手渡すと、自然と手が伸びて、サヤから大豆を取り出しはじめる子どもたち。

目の前に自然の神秘があれば、子どもたちの手指は動く!さっそくそんな事を体感しました。

そして、参加者みなさんの自己紹介。
子どもが小学生になるきっかけで東京での暮らしに疑問を持ち始めた、コロナ禍で子どもを自然に触れさせたかった、小川町が地元だがまだまだ知らないことが沢山ある、等々、
さまざまな思いを共有し…

里山ハイキングへ、出発です!

 

ハイキング(保育園〜飯田神社〜双子山〜小瀬田の田んぼ)

コースは、保育園のすぐそば。

民家を通り抜けて、昔から近隣住民に信仰されている飯田神社を目指します。

急な階段を登り、飯田神社に到着。
飯田神社では今でも年に一度“火祭り”というお祭りがあり、けんちん汁の炊き出しをして地域住民が集まるそうです。

「昔は、子どもたちが不用品を集めてきて火の神様のもとで燃やし、その代わり柿やサツマイモなどを“盗んでいい日”になるという、面白い風習があったそうです。」
と、企画コーディネーターで小川町地域おこし協力隊の三玉さん。

「子どもが地域の大人に助けられながら役割を果たす“子どもが社会参加できる日”で、地元のお爺ちゃん、お婆ちゃんたちに聞くと、楽しそうに当時の話をしてくれます。」
と、尾島園長も教えてくれました。

ネイチャーガイドもされている石井先生からは、珍しい木の説明や、落ちている葉っぱや木の枝など好きなものを集めると楽しいよと、山歩きの楽しみ方を教わります。



気になる自然の神秘を採取しながら、どんどん山の中へ。

大人でも登りごたえのある傾斜。ここを園児たちは毎日ハイキングしているというから驚き!最年少・2歳児の男の子も、自分の足でしっかりと登りました!

森林を抜けると、四方を山に囲まれた盆地である小川町の山々が見えます。
約1時間ほど山の中を歩いて、道がひらけてきたらハイキング終了!

 

昼食は、大きな木の下で

たどり着いたのは、小瀬田という、山の谷あいに田んぼが連なる広場。大きな木の下に遊具やウッドデッキがあり、保育園児たちの遊び場だそうです。ヤギがいて竹ドームがあって…子どもたちのワクワクが止まらない素敵な場所で、思い思いのランチタイムをとります。

小川町の有機農業の楚をつくった下里地区にある、「分校カフェMOZART」の野菜たっぷり弁当。地元の有機野菜がふんだんに使われていて、お肉がないのにボリューム満点!身体が喜ぶ美味しいごはんを頂きました。

ごちそうさまでした!

 

焼き芋・稲わらリース作り

稲を刈りとった後の田んぼで、焼き芋づくりがスタート!石井先生が稲わらで火を起こしてくれました。ここは保育園でお米づくりをしている田んぼだそうです。

火を起こす間に、みんなでお芋の準備。まず、濡らした新聞紙でさつま芋をくるみ、その上からアルミホイルで包む。ふかふかに美味しく焼く秘訣だそうです。

 

お芋準備の後は、稲わらリース作り!

石井先生のお手本を真剣に見て、説明を聞きます。昔の人は稲わらで縄を作っていたそうですが、今はクリスマスやお正月用のリースを作ることが、地元の人の活用方法だそうです。

そして再び山に入り、リースに飾りつける葉っぱやお花を採集。
焼き芋の蒸し上げに使う落ち葉もたくさん集めて、山からコロコロと転がしましたよ!

大人も子どもも一緒にリース作り。稲わらの編み上げはとても難しく、一人で編むにはかなり練習がいるようです。3人一組で分担すると綺麗にできました。



水引きや植物を飾り、それぞれのリースが完成!買ってくることが当たり前だったお正月飾りですが、田んぼが身近にある地域の人たちは、こうやって手作りをしているのですね。自分で作ると愛着も湧き、飾る日が楽しみになりました。

約1時間、ふかふかの藁と落ち葉の中でじっくり焼き上げていたお芋が、いよいよ完成!ホカホカ、湯気の立つ焼き芋を、青空の下で美味しく頂きました。なんて贅沢な時間。

 

ぐんぐん進む子どもたち!



15時頃まで思い思いの団欒タイム。お芋で腹ごしらえした子どもたちは、時間いっぱい、思い思いに遊んでいました。

参加したお父さん、お母さんたちのこんなお声が印象的でした。

「子どもたちの様子が普段と違って驚きました。いつもは引っ込み思案で、遊んでいても間が持たずテレビを見たりしていましたが、今日はどんどん先に行く感じ。」

「こんなに道がないところは初めて!車も電線もない場所が久々。自分たちで落ち葉を集めて焼き芋をするのも初めての経験でした。考えごとをせず感じるまま、大人も楽しめました。」

「子どもたちが楽しそうだったのが何より!」

有機の里 小川町での里山ハイキングは、“地域の暮らし体験”にもなりました。
保育園児が毎日登り下りする小さな山では、季節ごとに様々な植物や生き物を観察できるのだろうな、足腰が鍛えられて丈夫な子どもに育ちそうだな、ご近所の方々から声をかけてもらって、地域一帯となって子育てをしている感じが温かいな、そんな事を思いました。

何はともあれ、雲一つない見事な秋晴れ!親子一緒になって、身近な自然を満喫できました。

また次回以降、小川町の何気ない暮らしの一部を体験できるようなイベントを企画していきます。
ご参加くださったみなさま、本当にありがとうございました!

 

主催:石蔵保存活用協議会

※この事業は、埼玉県ふるさと創造資金の補助を受けて実施しています。

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